課題:多数の性能を満たす新規組成の探索
ディスプレイやフレキシブル太陽電池などの電子デバイスの薄肉化の流れが強まり、デバイスを保護する透明ガスバリアフィルムにはより高いバリア性能を発揮する組成が望まれている。
通常、透明ガスバリアフィルムはポリエステルなどの透明プラスチックにガスバリア能を付与するために無機膜をコートした設計であるが、薄肉かつ屈曲に強いフィルムを作成するには基材の透明樹脂自体のガスバリア性能を高める必要がある。
過去から数種類の候補モノマーの共重合、および添加剤の付与による透明プラスチックの組成開発を行ってきたが、その膨大な組み合わせの中から光透過率、力学特性、ガスバリア性能、耐久性の多数の目標を満たす組成とプロセス条件を探す必要があり、選択肢の多さから性能の推定が困難であった。
解決策:ベイズ最適化による効率的な組成探索
本テーマは過去に検討された17種のサンプルデータを元に検討を開始した。解析においては光透過率、力学特性、ガスバリア性能、耐久性を目的変数に、各原料の配合量や作製の各種プロセス条件を説明変数として用いた。
初期の実験データには特定の組成へのデータの偏りがあった為、ベイズ最適化を用いてデータ不足な領域も含めた条件候補を導出し、実験によりデータ追加を行った。
追加過去の類似テーマから集めた配合品のデータであり、21種の原料種の中から目標に対して重要な原料が不明瞭であった。そこで、現状データにてLASSO回帰の予測モデルを作成し、目的変数に対して重要な配合成分の特性を行った。
次に追加したデータを含めた予測モデルを作成し、それぞれの目的変数に対して重要な因子を特定し、全目標を満たすための重要な設計条件を考察、そして実施可能な条件を網羅的に予測し、最適な組成を探索した。
結果:高いガスバリア性能となる組成条件の発見
初めの17サンプルのデータを用いたベイズ最適化により、配合条件候補を10点を導出した。ベイズ最適化は目標への到達可能性の高い条件のみではなく、データが不足している領域の中で、改善可能性の高い条件も導出する。10点の候補条件を参考に、新たに6条件の新規サンプルを作成・評価を行い、データを追加した。
追加した全23サンプルのデータを元にLASSO回帰、ガウス過程回帰による予測モデルを作成した。ベイズ最適化からデータ不足の領域にデータ追加をしている為、17データの時よりモデルの予測精度を向上させることが出来た。それらモデルの重要特徴量から各目的変数に重要な因子を確認した。そこからトレードオフの関係となる目的変数、光透過率が悪化する組成の主要因や耐久性に大きく関わるプロセス工程を特定した。
作成した予測モデルを用いて実施可能性のあるほぼ全ての条件を網羅的に予測した結果から、性能目標を満たす原料配合、プロセスの各操作条件の設定範囲を定量的に求めた。その中から全目標を満たす複数組成を作成し、結果として高いガスバリア性能を発現し、かつ他の物性も実用範囲の樹脂組成を発見することが出来た。
miHub®︎では、データ不足時における実験計画から、設計における多くの洞察や最適な組成・プロセス条件を定量的に得ることで、膨大な組み合わせの検討の中でも効率的に開発を進めることが可能になる。
お客様の研究課題や業務プロセスに応じたmiHub®の活用方法をご提案します。
