Kasetsart UniversityおよびMI-6株式会社による共同研究グループは、Fourier変換赤外分光(FTIR)データと深層学習を用いてバイオ燃料の元素組成および高位発熱量(HHV)を迅速かつ非破壊で予測する技術に関する研究を行いました。本成果は「Results in Engineering」に掲載されました。
バイオ燃料の品質評価や環境負荷の測定において、炭素・水素・酸素・窒素(CHON)の元素組成を正確に把握することは極めて重要です。しかし、従来の元素分析計や質量分析を用いた測定手法は高い精度を持つ一方で破壊的であり、サンプルの前処理や分析に多大な時間を要するため、大量のサンプルを迅速に評価するハイスループットスクリーニングへの適用が困難という課題がありました。
本研究では、1次元のFTIRスペクトルデータを、化学的相関の高い波数領域ごとに2次元の特異的な特徴マップへ再構成する「AggMap」アルゴリズムを採用しました。これにより、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が官能基のシグナルや局所的なスペクトルパターンを効果的に学習可能となり、元素の「存在検出(分類)」と「含有量定量(回帰)」を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを通じて、未知の気体相燃料データにおいて高い予測精度を達成しました。一方、液体燃料サンプルを用いた検証は現段階では小規模な概念実証に留まっています。今後は多様な燃料特性を網羅するデータ拡充に取り組み、本モデルの汎用的な適用可能性を実証していくことを将来的な研究開発のロードマップとして位置付けています。
本成果は、分光データから直接バイオ燃料のエネルギー特性を高精度かつ迅速に推測するデジタル技術の基盤となるものであり、既存のFTIRインフラを活用した低コストかつ迅速な燃料スクリーニングの可能性を拓き、バイオエネルギー研究開発における初期評価プロセスの効率化に貢献することが期待されます。
論文情報
- タイトル:Non-destructive combustion analysis of biofuels through FTIR and deep learning for elemental composition and HHV determination(リンク)
- 掲載誌:Results in Engineering
- DOI:https://doi.org/10.1016/j.rineng.2026.110248
- 著者 ※所属は論文記載時点の情報に基づきます。
- Sivakorn Kanharattanachai, Pongsapak Lueangratana, Thanakrit Yoongsomporn, Elisa Margarita Mendoza Zamarripa, Yuan Weilin, Chia Hsiu Chen, Mitsuru Irie, Chaiyanut Jirayupat (MI-6株式会社)
- Napat Kaewtrakulchai (Kasetsart University)
