概要
マテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics, MI)とは、研究開発において蓄積されたデータ(化合物構造、物理的特性、製造プロセスなど)をAI技術(機械学習・ディープラーニングなど)を駆使して分析することで、材料や製品の開発プロセスを革新し、より優れた材料や製品の発見・設計を可能にする手法です。
従来の研究開発では、研究者が過去の経験に基づいて実験を繰り返し、新たな材料の発見や既存材料の改良に取り組んできました。このアプローチには膨大な時間とコストがかかり、材料開発の進展には限界がありました。今日では、材料に求められる特性の高度化・複雑化が進む中、開発の難易度が上昇しています。加えて、最終製品のライフサイクルが短縮されるにつれて、短期間での材料開発の必要性が増しています。その結果、研究開発の革新が強く求められるようになっています。
MIはこのプロセスを大きく変える可能性を秘めています。MIでは、過去の研究や実験から得られた膨大なデータ(化合物の構造、物理的特性、製造プロセスなど)を収集・整理し、そのデータを基に機械学習やディープラーニングなどのAI技術を駆使して、新たな材料の特性を予測、最適な材料の組成や製造条件の提案を行います。これにより、研究開発の財産であるデータを最大限活用したデータ駆動型の材料開発が可能になります。
MIの活用効果例
- 開発スピードの向上
従来の方法では、材料の発見から実用化までに数年、場合によっては十年以上かかることもありましたが、MIを活用することで、このプロセスを大幅に短縮することが可能になります。例えば、数ヶ月のうちに数百万の候補材料をスクリーニングし、その中から最適なものを絞り込むことができます。
- 開発コストの削減
実験設備や試薬の使用量を削減し、また不必要な実験を省略できるため、全体的な開発コストが抑えられ、開発プロジェクトの効率が向上します。
- 新たな発見の促進
これまでの研究では見過ごされていた材料や、未知の特性を持つ材料、合成プロセス、製造プロセスがデータ解析の過程で発見されることもあり、新しい科学的知見の創出にも貢献します。
MIは、多くの分野で既に活用され、新材料の発見や開発プロセスの効率化に貢献しています。今後は、配合やプロセスの最適化、物性予測にとどまらず、ナレッジ共有やコミュニケーションを含む情報伝達、さらに企画から研究、製造までの一貫したDX推進が一層重要になります。
コンテンツ
- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは?
- MIの基本的な型
- 研究開発DXとMI
- MI解析と事例
- 解析の基本的な流れ
- MI活用領域と適用事例
対象者
- MIにこれから初めて取り組む方
- MIについて調べている方
- MIに関心がある方
問い合わせ先
MI-6株式会社 事業開発部:bd@mi-6.co.jp